脂漏性皮膚炎と診断され、かゆみや赤みなどの慢性化する症状に悩まされている方は多くいらっしゃいます。
ただ、脂漏性皮膚炎は頭皮ニキビやアトピーと似ているところがあり勘違いされやすく、わからないまま間違ったケアを続けて悪化させてしまう方も多いようです。
この記事では、脂漏性皮膚炎と頭皮ニキビ、アトピーの症状の違いや見分け方について説明していきます。
脂漏性皮膚炎と頭皮ニキビの見分け方は?
症状も似ている両者ですが、どのような見分け方ができるのでしょうか?
まずはそもそもの原因から説明していきます。
脂漏性皮膚炎と頭皮ニキビの原因
脂漏性皮膚炎は、皮脂が過剰に分泌されることで皮脂を好物としている真菌が異常増殖し、炎症が起こることが原因となります。
皮脂の過剰な分泌は、ストレスや不規則な生活習慣、睡眠不足などにより起こります。
また、ニキビの原因は毛穴に皮脂が溜まることによります。
どちらも最初の入り口が皮脂ということで、余計に見分けがつきにくいのかもしれませんね。
ニキビもまた、ストレスや睡眠不足が原因になりますが、ニキビの原因はそれ以外にも様々あります。
皮脂の摂り過ぎによる肌バリア機能の低下も原因の一つです。
他にも、活性酸素の影響による肌のターンオーバーの乱れや、化粧品によって毛穴が詰まること等々、たくさん原因はあります。
頭皮ニキビに限定していえば、シャンプーやリンスの洗い残しが原因とも言えます。
頭皮に成分が付着したままになり、それが悪さをしているのです。
洗い残しが原因の場合は、しっかりとすすぐことを意識すれば頭皮ニキビは改善していきます。
脂漏性皮膚炎の原因 ⇒ 皮脂の過剰分泌と真菌の異常増殖による炎症
頭皮ニキビの原因 ⇒ 毛穴が詰まること
脂漏性皮膚炎とニキビの症状の違い
脂漏性皮膚炎とニキビの大元の原因は似ていましたが、では症状にはどんな違いがあるのでしょうか。
ここでは、症状の違いについて、脂漏性皮膚炎の症状からご紹介していきます。
脂漏性皮膚炎の症状には、このようなものがあります。
- 頭皮にベタつきがある
- フケが大量に出る
- かゆみがある
- かさぶたができている
ニキビは赤い点々ができますが、脂漏性皮膚炎のように「かゆみ」や「フケ」といった症状はでませんので、この点が脂漏性皮膚炎とニキビの違いになります。
頭皮ニキビだけではかゆみやフケはでないことを覚えておくと良いでしょう。
ニキビだと思ってケアしているけれど、なかなか症状が改善しないという方は、もしかしたらそれはニキビではなく脂漏性皮膚炎かもしれません。
ニキビと脂漏性皮膚炎では、ケアの仕方も変わってきますので、1度皮膚科にて診察を受けましょう。
脂漏性皮膚炎とアトピーの違いはなに?見分け方を解説!
皮膚炎の中でも、脂漏性皮膚炎とアトピー性皮膚炎の症状はよく似ています。
このように、脂漏性皮膚炎とアトピーは皮膚科のお医者さんでさえ間違った診断をしてしまうこともあるほどです。
では、2つの違いはどこにあるのでしょうか?
脂漏性皮膚炎とアトピーの違いについて、4つの点から違いをご紹介します。
①原因の違い
<脂漏性皮膚炎>
脂漏性皮膚炎の原因は、ストレス等で過剰に分泌された皮脂によって、それを好物とする真菌が異常増殖してしまうこと。
その真菌に対して免疫細胞が過剰に働いてしまうと、炎症が起こります。
<アトピー>
アトピーの原因は様々あるようで、ストレスや過労、睡眠不足、ダニなど、遺伝によっても発症すると考えられています。
角質層の水分が保たれず乾燥しやすく、肌のバリア機能が低下しているために外からの刺激に対して弱くなっていることにもよります。
②症状の違い
<脂漏性皮膚炎>
フケやかゆみ、炎症の症状があります。
他にも、皮膚が厚く硬くなったり、皮がポロポロと剥けたりもし、慢性化する場合があります。
症状が出やすいのは皮脂の出やすい部分で、頭皮や髪の生え際、眉間、鼻の周り、頬、あご、背中、胸、わきの部分等があり、左右非対称に症状が現れます。
<アトピー>
アトピーも、かゆみや炎症の症状が出ます。
症状は良くなったと思ったら、また悪くなったりと、繰り返して起こります。
症状は左右対称であることが多いようです。
また、症状は、肘や膝の裏、首、手首など、関節部分に多く現れます。
③処方されるお薬の違い
<脂漏性皮膚炎>
・ステロイド外用剤
・抗真菌剤
<アトピー>
・ステロイド外用剤
・抗アレルギー薬
・抗ヒスタミン薬
④治療法の違い
<脂漏性皮膚炎>
ステロイド外用剤で、免疫反応を抑え、炎症を鎮めます。
また、抗真菌剤にて原因である真菌を取り除いていきます。
<アトピー>
ステロイド外用剤は炎症を抑えるための薬ですので、アトピーの場合でも処方があります。
症状の度合いによって処方される薬の強さを調節し、日常生活に支障の出ないように改善していきます。
抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬は、かゆみの症状が出たときのかゆみ止めとして使います。
不安なときは皮膚科へ
症状やその見た目は似ているところがありますが、原因は違うため、治療法も異なります。
また、2つを併発してしまうこともあるようです。
処方されたお薬でもしも効果を実感できないことがあれば、我慢せずに病院で相談してみてくださいね。
脂漏性皮膚炎のシャンプーや薬はアトピーには効かないの?
脂漏性皮膚炎とアトピーは、見た目や症状に、似ている部分が多いですよね。
では、脂漏性皮膚炎と診断され処方されるお薬は、アトピーには効果はないのでしょうか?
ここでは、脂漏性皮膚炎に効果があるとされるシャンプーや薬が、アトピーにも効果があるのか?をご説明いたします。
脂漏性皮膚炎で処方される薬とシャンプー
まず、脂漏性皮膚炎と診断があった場合に処方される薬をご紹介します。
一般的に2種類のお薬が処方されます。
それが、「ステロイド外用剤」と「抗真菌剤」です。
また、それに加えて「抗真菌剤入りのシャンプー」の使用をすすめられることもあります。
では、いま紹介したような薬やシャンプーをアトピーの方が使用した場合、効果があるのでしょうか?
① ステロイド外用剤
ステロイド外用剤は、免疫細胞の活動が活発になって起こった皮膚の炎症を抑える薬です。
アトピーでも皮膚の炎症の症状が起こりますので、ステロイド外用剤は、アトピーの治療でも処方されるお薬です。
② 抗真菌剤
脂漏性皮膚炎は、過剰分泌された皮脂によって真菌が異常増殖することで起こりますが、抗真菌剤は、その原因菌となっている真菌を抑える薬です。
アトピーでの治療で処方されることはあまりないようですが、真菌の存在によってアトピーの症状が出る、または悪化させてしまうことがあるようです。
また、脂漏性皮膚炎とアトピーを併発してしまう人も多いです。
③ 抗真菌剤入りシャンプー
脂漏性皮膚炎の治療の中で、抗真菌剤入りのシャンプーの使用をすすめられることがあります。
②でもご説明したように、真菌がアトピーの症状を引き起こす、または悪化させることがあります。
なので、抗真菌剤入りシャンプーを使用してアトピーの症状が改善されたという声も多くありました。
抗真菌剤・抗真菌剤入りシャンプーは、真菌が原因となっているアトピーには効果があると言えます。
ただし、同じシャンプーを使っていて、アトピーの症状が改善された方もいれば、悪化してしまったという方もいらっしゃいましたので、使用の際には一度病院で相談された方がいいでしょう。
まとめ
頭皮ニキビは脂漏性皮膚炎と違いがはっきりしていて治るまでの期間が短いのが特徴です。
やっかいなのは、やはりアトピーです。
脂漏性皮膚炎と症状が似ていることで、医師でも脂漏性皮膚炎とアトピーを誤診してしまうことがあります。
炎症が起こる要因が様々なアトピーですが、最近の研究では、脂漏性皮膚炎の原因菌であった真菌も、その一つであるということがわかってきています。
真菌が原因となる脂漏性皮膚炎で処方されるお薬も、アトピーの方に効果がある場合もあるようです。
最悪、医師の判断が間違っていても悪い影響はなさそうですが、なかなか症状が良くならない場合は再度診察してもらって本当の原因を見つけるようにしましょう。
脂漏性皮膚炎は、慢性化しやすいので、病気と長い付き合いになる可能性もあります。
正しい知識を身に付け、なるべく早期から対策をしていくようにしましょう。